北米チューニングファンがJZA80スープラを特別視する理由をご存知だろうか?【北米スープラ神話】【読み上げてくれる記事】

北米市場でスープラはジャパニーズGTカーの象徴的存在だった

JDMマッスルカーとしての逞しさを静かにアピールする本気マシン

スープラというクルマはそもそもアメリカと縁が深い。その誕生の背景には、アメリカ市場で大成功したダットサンZの影響が強く「トヨタでも6気筒エンジンを搭載したスポーツカーを」という声は、北米市場からの大きなリクエストでもあった。

当初はセリカの6気筒版だったので、日本では「セリカXX」の名前で売られたが、北米市場では初代から「スープラ」の名で売られており、スープラは日本のGTカーの象徴的存在でありながらも、北米市場とは切っても切れない関係にあるというわけだ。映画『ワイルドスピード』1作目でJZA80スープラが主役マシンだったのも、そうした背景があればこそで、このスープラのオーナー、ダニーさんも特別な思い入れを愛車に注いでいるひとりだ。

彼がこのスープラを買ったのは2006年。購入当初からHKSタービン付きのチューンドだったが、そこからコツコツと彼の美学を反映したチューニング&カスタムを開始した。その美学とはズバリ「スリーパー(Sleeper)」。

これはマッスルカーの世界で良く使われる言葉で、一見すると乗っていても眠くなる様な地味なクルマだが、実はハイパワーでもの凄く速い…というスタイルを指している。このスープラは敢えて巨大なウイングを付けず、インタークーラーもブラックアウトしてその存在感をオミット。とにかく見た目はノーマルプラスαに留め、その獰猛さをひたすらに隠しているのが特徴だ。

しかし、チューニングは最新鋭にして究極。エンジンは2JZ-GTEをベースにフルチューン。しかも、エタノールとガソリンを混合したE85フレックスフューエルに合わせたセッティングがなされており、ガソリンだけの仕様よりもかなりのハイパワーを実現。燃焼効率の良いエタノールはエコの観点からアメリカで浸透しているが、ダニーさんの様な人にしてみれば「安いレースガス」ということらしく、現にこのスープラもE85を使用すると実測で970psを発生するが、通常のガソリンだとそこから100psはパワーが下がるそうだ。

このハイパワーエンジンに対応するべく、サスペンション、ブレーキもアップグレード済みで、970psを内に秘めた「スリーパー」なスープラはコンセプト通りに完成。つい最近、メルセデスのE63AMG(5.5LV8ツインターボで585ps!)が隣に並んだ時、相手が「ホイールを入れただけの日本車か」とバカにしていので、思い切りブチ抜いてやったという。能ある鷹は何とやら。大人のチューンニングコンセプトとして、「スリーパー」は今後もっと広まっていきそうだ。

PHOTO:Akio HIRANO  TEXT:Takayoshi SUZUKI

完璧にディテールアップされたエンジンルーム。「クロームが好きじゃない」ということで、ブラックペイント&カーボンパーツでセンス良くブラックアウトしている。カーボンのインテークパイプ類は、このスープラの製作を担当したJSPによるカスタムメイド。

タービンハウジングも鋳肌を落としてからパウダーコートでブラック化するという凝り様だ。

エンジンルームを綺麗に見せる「ワイヤータック」と「シェイブドベイ」も当たり前の様に施される。エンジンは見た目だけではなく、中身にも手が入ったフルチューン。

エタノール燃料にも対応したECUと専用センサーをセットし、E85を高効率で使用することを可能にしている。その独特の排気臭はまるでレースカーだ。

ボディはハウス・オブ・カラーのレッドマイカを使用してペイント。ボンネット上のスクープは、欧州仕様の物を装着。

サイドスカートとリヤスパッツは日本仕様だそうだ。フロントリップとリヤスポイラーはカーボン製だが、スリーパーゆえにアピール度の低いシンプルな物を装着。

「Built Not Bought(買ったのではなく、作った)」というステッカーは、ダニーさんのプライドが込められた一品もの。ちなみに、ナンバープレートの「SYANNRA」とは「サヨナラ」の事(他の人が申請済みで「SAYONARA」は取れなかった)。

ホイールはワーク・グノーシスHS201の19インチ。JZA80スープラはノーマルフェンダーでも極太サイズが飲み込めるので、前9J、後11Jとファットサイズを履きこなす。ブレーキはレースシーンからの支持も厚いストップテックのビッグブレーキキット。フロントキャリパーは6ピストンで制動力も抜群。

ダッシュパネルやピラーメーターのポッドは、レザー張りへとカスタム。シートもダッジ・バイパーの物をベースに張り替え、そこにSUPRAロゴを刺繍したワンオフ品だ。メーター類はPOWER HOUSE RACING製で、スピードメーターはGPSも併用するタイプ。

これだけ本気のチューンドながら、オーディオも抜かりなく装備するのがアメリカ流だ。

8年を掛けてここまでクルマを仕上げたダニーさん。エンジン等のメカニカルパートはJSPというショップに任せているが、内装などの作業は自身で行っている。スープラを「日本のマッスルカー」と例えるが、実は本物マッスルカーのC6コルベットも所有。その上で「スープラの方がパンチがあって好き」と語るなど、このスープラを本当に大事にしているのがわかる。

スペック

■エンジン:2JZ-GTE改/ワイセコ ピストン/GRP アルミ製コンロッド/ARP スタッドボルト/ヘッドポート加工/HKS 272度カム、チタンエキゾースト/SUPERTECH バルブ、バルブスプリング、リテーナー/UNORTHODOX ビレットカムギア/BULLSEYE S347Rタービン/ETS ステンレスマニフォールド、インタークーラー/TURBOSMART 60mmウエストゲート/TIAL RACING 50mmブローオフバルブ/ATI スーパークランクダンパー/SP RACING クイックスプールバルブ/アールズ オイルクーラー/RMR 90mmスロットルボディ/FIC 2150ccインジェクター/KOYO ラジエター/PRO EFI コンピューター、ブーストコントローラー

■ドライブトレイン:RPS トリプルプレートカーボンクラッチ、軽量フライホイール/DRIVESHAFT SHOP HDソリッドドライブシャフト/TRD LSD、エンジンマウント

■フットワーク:MEGAN RACING 32段階調整式車高調/TRD スタビライザー

■ブレーキ:STOPTECH ST-60ビッグブレーキキット、355mmエアロローター

■ホイール:ワーク グノーシスHS201(F9.0J×19 R11.0J×19)

■タイヤ:

ハンコック VENTUS V12(F265/30-19 R315/30-19)

■エクステリア:SEIBON CARBON カーボンフロントリップ/UCHIDA CARBON スポイラー

■インテリア:ダッジ・バイパー用シート/内装張り替え/ドゥーラック・リヤクロスバー/ケンウッド・ナビゲーション/JL AUDIO パワーアンプ/RAINBOW AUDIO スピーカー/BRAILLE バッテリー

web option編集部

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